「天地明察」を書いた冲方丁(うぶかた とう)さんの作品、「光圀伝」を読みました。私は実は茨城県水戸市の出身なので、郷土の英雄、黄門様の事績には当然のこととして高度に通じ・・・ていた訳では全然なくて、この本に書かれているようなことは全く知りませんでした。本当に申し分けない思いで読み進めていたのですが、物語に取り込まれ、大著ながら一気に読み終えてしまいました。

水戸光圀というと、とにかく諸国漫遊のおじいさんの姿を思い浮かべてしまいますが、実際のところはとても若々しい、才気に溢れた人物だったと描かれていま す。この人物は傑出しており、戦国時代に生まれていたら、きっと名のある武将や名君としてその名を残したことでしょう。しかし光圀が生まれた時代は既に戦乱が収まり、幕藩体制が安定し始めた平和への時代でした。徳川家康の孫として江戸の町人には、それこそ時代の王子様としてとても人気があったそうですが、その才能は主に学問に向かうことになりました。

その後、御三家の一角として江戸の鬼門、水戸藩を守る方となりましたが、我々が今日的に触れることになる水戸から江戸へのエネルギーラインも実際はこの人が整備した(あるいは、近代的にリファインした)のかもしれません。鹿島神宮の要石を掘らせた事もあるそうですし。沢山の文化的なお仕事をなさって世を去りましたが、この方の残した水戸学は、江戸幕府の最後に世 の中を大きく動かすことになりました。

作者の方もとても才能を感じさせる文章で、とても興味深く、そして面白く!読めました。この本をきっかけに水戸光圀のことを(そしてその隠された霊性を)もっと知ろうと思いました。とてもお勧めの一冊です。

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